「にもかかわらず」笑うこととしよう

過去は振り返らない主義でここまで生かしてもらったことに感謝する気持ちであるが、体のリズムと同じように、身辺の変化に周期があることを知って数年になる。

前にも述べたが、2月末召集を受け3月に入隊、軍隊経験2年で3月に台湾より帰国。広島大竹港上陸除隊。TBSに入社決定が3月、糖尿病発病が2月、亡妻入院が2月、いく度かの主な人事も2月、3月に経験している。

体の変調も、風邪をはじめとして2、3月に集中していることに奇妙な符節を感じる。

毎年この時期のハードルを乗り越えるよう、健康維持のための自己管理、身辺への細かい気配りを忘れずに過ごすよう努めている。

見出しの警句は、日本心臓財団名誉会長、上田英雄先生の老人への訓辞である。隙間風(温度差)に気をつけて風邪をひかないように、転んで足腰を痛めないように、無理をせず、たまには義理を欠く勇気をもちなさいと自己流に解釈して、自分の戒めとするとともに、他人様へも引用させてもらっている。

おかげさまで今年は無事ハードルを越えることができ、全くハレの気分で、例年に比べて早咲き、寿命の短い桜を、「活年らいふの会」の有志とともに小千谷で満喫できたことは幸せであった。

ハレはまだ続いて一週間後、山梨県教育庁が設立した、高齢者のための生涯学習大学「ことぶき勧学院・大学院」の平成2年度、入学式・始業式に縁あって記念講演を行った。また恥を多くしたと反省の思いに駆られているのを察知されたのか、勧学院T局長さんのご案内で清里のオルゴールホールや北沢美術館を見学、恥ずかしい心を癒されて脳天気になる。

翌日は、山歩きのベテランT氏に連れられて、小説家中里介山ゆかりの大菩薩峠の山行を予定していた。予報は晴れ。幼い頃の遠足、ゴルフの前夜の昂ぶりを感じながら、ホロ酔い加減で入浴。浴槽をでた途端大理石の踏み台で転倒、左足首切傷、右肋骨打撲。せき、苦笑い、寝返りもままならず劇痛で朝を迎えた。幸い、「甲府活年らいふの会」会員N先生の診療と適切な処置を受け、痛みはともかく情緒的安定を得たことは救いであった。
ハレは続かない。時期にかかわらずメイストームはくるものだと「転ばぬ先の杖」の金言をかみしめている。