育児から育自       

  

先日、若いお母さんと話したときのこと。「スキンシップが大切だから1日に2〜3時間は子どもとふれあいの時間を持とう」と育児書に書かれて、午前中は何もしないで赤ちゃんの脇に寝ころがって話したり、頭をなでたりしていて、家事が出来ないといっていました。

私も乳幼児を育てているお母さんたちに、子どもとのかかわりの大切さを話していますけど、べったり側に居るだけが、良いとは思えないのですけどね。

子どもの呼びかけや要求を無視したり、拒否したりということなく適度のかかわりが大切だと思うのです。

この頃は家事が合理的になり、手がかからなくなった分、お母さんの時間も労力もどっぷり子育てに注がれ、なんとか良い子に育てようと、親も子も力が入りすぎて重荷になり、疲れているということはないでしょうか。一生懸命になり過ぎると期待度も高まり、よそ様の子より少しでも良い子にと思うようになるのも無理ないことかもしれません。でもこうして、大事に育てられ親子はべったりだけれど、人とのつき合いが下手で友達同士で遊べないという子どもたちの状況は心配です。先生や友達の悪口を言ったり、乱暴な言葉を発しながら一人遊びをしている男の子のことで相談がありました。

親子以外の人のかかわり方、友達の中で自分を主張したり判断したりしながら行動していくことが苦手な子が育っているような気がするのですが、どう思われますか?

そして改めて感じることは、人間関係をつくるのが下手な人たちが増えてきている、子どもたちも違うタイプの子と遊ぶのが苦手で、争いにならないような友達とばかり、それも適当な距離を置いてつきあっているということ、お母さんたちは、子どもたちを頑張れ頑張れと追いたて、結果、自己評価の低い自信のない子が増えている。学力が自己評価の決定的要素になるので、成績のよくない子は、すべての面で気後れしている。それでも、もっと頑張らなければと、常に足りない足りないという思いで暮らしているという。この子たちに「みんないきている“ありがとういのち”」という人として生まれて来た喜びを感じてもらえるように伝える方法はないものかと心から思いました。