育児から育自       


若いお母さんたちが数名、賑やかな笑い声を上げてコンペ真っ最中。子どもたちは家でお父さんとお留守番。「私たち結婚が早かったから遊んでないもんね」「お酒がこんな美味しいものだって初めて知ったわ」「こうやって友だちとお酒飲みに行かなかったわね」

女性たちが「自分」を大切に思うようになり、「自分を犠牲にしてという発想が薄くなっている」と言う人がいます。でも私は犠牲になったとばかりは思わなくて、子どもを生み育てるっていうことは、不思議なことも、楽しいことも、びっくりすることも、いっぱいあってすごいことだと思っている一人です。

そして、乳幼児期の大人との関わり、特に母親との信頼関係がしっかり出来ていれば、子どもは安心して何でも話をするようになるし、安心して自分のやりたいことを探します。自分に自信を持ち自分を大切に思うようになると思っています。

先日、友人の信頼も厚く、面倒見も良くて、夫婦仲も良いお母さんの子が、自分より弱い子を小突き、無理難題を言って、いじめているという話がありました。優秀な母親ほど、ちょっと気が短くせっかちのようです。そして子どもたちは母親に声を掛けるタイミングがつかみにくいようです。

このお母さんも能力があり、いつでもシャカシャカと忙しく自分の尺度で子どもを見ているように思えます。手が掛からなければ結構なことと声も掛けない。学校の出来事は何も話さず、部屋に閉じこもっている娘に話を聞こうという働きかけをしない。甘えてすり寄ってくる弟のことはなんだかんだと友人に話をするし、子どもにも声を掛けるけれど、ポツンとしている姉の心に立ち入ろうということは考えない。部屋を汚すからおやつは台所で、勉強はどんなに寒くても暖房設備のない自分の部屋でと、母親の決めた規則の中で、黙々と従っている女の子の心の中は、いつも満たされない悲しい思いでいっぱいだと思います。お母さんの声掛けを黙って心待ちにしながら寂しい思いの子ども。いつも素通 りしてしまうお母さん。屈折した気持ちが弱いものいじめになっているのではないかと心配になります。