育児から育自       

  密室家庭

先日ベビーシッターの人からこんな話を聞きました。

依頼先の5歳の男の子A君は、どのシッターの言うことも聞かず、お母さんも手を焼いている乱暴な子だったそうです。

ある日、A君と図書館へ行くことになった時、A君は自分の好きなおもちゃをしっかりと抱いていて、離しません。「図書館は遊ぶところではないから、置いていきましょうね」と言うと、「お願いだから、持っていかせてよ。図書館では絶対おもちゃで遊ぶことしないから、持っているだけだから、良いでしょう」と、一生懸命言ったそうです。

その時、彼女は「自分だって、ハンドバッグの中に今日使わないものを入れてある。入っていると思うだけで安心できるものってあるものだ」と思ったそうです。

彼女は、とても大切なものを見つけたような気がしたと言います。A君のお願いを聞き届け、一緒に図書館に出掛けたそうです。A君は、約束を守り、家へ帰るまで困らせるようなことなく、かえって自分の願いを聞き入れてもらえた喜びが、気持ちを素直にさせたようで、その後は自分の思いをはっきり言うし、人の話も聞ける子になって、「明るい元気な子だ」と言われているそうです。

大人は、とかくルールを守らせることばかり考えて子どもの思いを無視しがちですが、子どもの切なる願いを聞きとれる心のゆとりを持ち続けられるようにしたいものですね。