(いんなぁとりっぷ社・刊)
活年らいふの会前会長
樋下一郎(故人)
わが国が高齢化社会に仲間入りしたのは昭和45年である。

あわせて、平均寿命も延び続け、いまや人生80年時代を迎えている。

このように老人の急増と“人生80年”への変化は、必然的に政治・経済・社会の新しい対応策が求められるが、一方「老人」とよばれるものがそれぞれの生き方、心のもち方を変えなければ、心豊かな楽しい長寿時代を過ごし、人生を全うすることはできないのではなかろうか。

“名は体を表す”という。「老人」、「年寄り」という暗いイメージ、弱者という受け身の印象をとりはらうために造った言葉が「活年」である。

そして「活年」の概念を、
「活年とは、年齢に関係なく、心が若々しい人を指した言葉です。 生涯現役で、生き甲斐をもち、いきいきとした活力のある人生を送りたい。それには、人との交流を積極的に行う中で、ひとりひとりが生き甲斐のある人生を創造し、併せて心豊かな地域連帯生活の創造を目指して活動する人が『活年』です」と掲げ、提言してきた。

サムエル・ウルマンの『青春の詩』の、「青春とは人生のある期間をいうのではない。心のもち方である。………人間は年を重ねて老いるのではない。情熱、理想を失った時老いるのである」に触れたときの共感と感動を忘れない。

そこで、老いをとりはらうためには既成概念を打破すること、心の若さを保つためには、自分づくり、仲間づくり、地域づくりをキーワードとすることをモットーに、独断と偏見に満ちた考察や、出会った人々のルポをまじえて、主張・提言・問題提起を機関誌『活年』の巻頭エッセイとして発表してきた中から、掲載いたします。


 ・春は別れと出会いの季節
 ・「いいトシをして」を「いいトシだから」に
 ・やる気、根気は老いをはらう
 ・季節がなくなる
 ・「定年」と「停年」を使いわけよう
 ・「にもかかわらず」笑うこととしよう
 ・ひくな、転ぶな、たまには義理をかけ
 ・生かすも殺すも一言から
 ・おじいさんの孫育て記
 ・「老害」とは
 ・忙中閑あり、閑中忙あり
 ・敬老の日
 ・活年の居場所
 ・それぞれのお正月
 ・生きてる証拠
 ・定年後に待つもの
 ・生き甲斐アラカルト
 ・活年なくして七癖
 ・ひとつの言葉
 ・おばあさんの智恵
 ・ばばコンじいさん
 ・それぞれの消夏法
 ・春は別れと出会い2